マロンさんとの撮影は朝の6時に待ち合わせをしました。この夏の猛暑もこの時間はまだまだ手加減をしてくれているようで、本気の熱風ではなく、風が吹いてくると涼しく感じました。
いつもだったら、マロンさんのことを色々と話しながらお散歩に同行させてもらうのですが、この日ばかりは僕ら人間が熱くなっている高校野球の話をたくさんしました。というのも、夏の甲子園出場をかけた佐賀県大会の決勝戦が前日に行われたからです。僕もマロンさんのお父さんも、有田工業高校を応援するために球場に出かけていたのですが、その有田工業高校が優勝をした瞬間をまのあたりにできた喜びに沸いていて、その熱は翌日のこの早朝ではまだまだ冷めていませんでした。
マロンさんは僕らの盛り上がりに寄り添って、時折お父さんから渡される大好物の「きゅうり」をどこか微笑ながら、かじっているように見えました。
書き手/カメラマン 杵嶋 宏樹
1979年神奈川県出身。2000年「東京工芸大学 芸術学部写真学科」入学、2004年卒業。「広川事務所」に就職し、写真家・広川泰士氏のアシスタントを務める。29歳に独立し、ラジオ番組のスチールや雑誌など関東を中心に活動。2023年12月に波佐見町へ移住。
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