さて、「波佐見焼があなたの手に届くまで」の2回目は型屋さんの紹介です。
前回の記事でお話したように、波佐見焼は分業制で作られています。たくさんの職人の手を通って、ひとつの器が完成するというわけです。そして、その一歩目となるのが「型屋」です。
日本の日常食器のシェア約16%と言ったように、波佐見は大量生産を得意としています。そして、大量生産のためには「安定した形で素早く生地を成形する」ことが必要不可欠。それを叶えてくれるのが型なのです。
波佐見を歩くと、オブジェのようなものを見かけることがあります。これが型です。ひとつの形状につき型が複数必要になるため、このように同じ形が重ねて収納されています。宮殿の柱のようですよね。
型屋さんの工程はとても複雑です。まずは、クライアント(窯元や商社など)が持ち込んだ設計図や見本をもとに原型を作ります。もちろん手作業。ここでポイントなのが、見本そのままに原型を作ればいいというわけではないということ。やきものは焼成する際に縮んだり(13%くらい)、変形するということを考慮しなければなりません。しかも、使う陶土や焼成する窯元がどんな窯を使っているかで微調整しているというから驚きです。数字、経験、手の感覚。まさに職人です。
そして、その原型をもとに使用型を作るのですが、その使用型を作るための型を作ったりと……。ちょっとここらへんは何度聞いても「??」となってしまいます。
ということで、これができあがった型です 笑 どんな商品になるか想像できますか?複数のパーツを組み合わせて完成する型もあるんですよ。(型をどのように使うかは次の記事で!)
私は、型屋さんの仕事場を見るのが大好きです。石膏の白に光が当たり、やわらかく明るい。そんな中で、手先を体全体を動かして働く職人のみなさん。「すごいな」「きれいだな」という言葉しか出てきません。
次では、型を使って、どのようにやきものの生地を作るのかを紹介したいと思います。
{きょうの一枚}