vo1、vo2はリンクから。
さて、釜沼で3つのキーワード(キーパーソン)に出会いました。
・林良樹さん
・無印良品くらしの良品研究所
・東京工業大学
まずは、林良樹さん。林さんは1999年に鴨川市釜沼に移住した福岡さんの先輩移住者です。福岡さん同様、釜沼の里山の風景に魅了されて移住したそうで、“美しい村が美しい地球を創る”をテーマに企業や大学などと協業しながら、人と自然、都市と田舎をつなぐ活動を行っています。そして、林さんの呼びかけで釜沼で活動を行なっているのが「無印良品くらしの良品研究所(以下、無印良品)」と「東京工業大学」です。
天水棚田にポツンと建つ小屋。これはなんと、「無印良品」が建てた「棚田オフィス」。横にはウッドデッキが広がっていて、そこではファッションショーやミニライブなどを開催したこともあるそうです。
林さんが理事長を務める「NPO うず」は、「無印良品」と提携して「鴨川里山トラスト」という活動を行っています。鴨川里山トラストとは、おおざっぱに言うと里山の保全活動のこと。例えば、天水棚田で育てた大豆や米を使った「手作り醤油の会」や「自然酒の会」。会員を募って、草取り・田植え・収穫などを一緒に行うというもの。世界的な企業である無印良品が、この小さな集落で棚田の保全をやっているなんて、長崎住みの私としてはキョトンな話。「無印の会長さんがフラッと来ることもあるんですよ 笑」と福岡さん。ますますキョトンです。
さて、「草取り・田植え・収穫って、そんなん農家の日常やん!逆にお金払ってこれをしたい人がおると!?」と波佐見から声が聞こえてきそうですが、それは地の利。東京から車で1時間30分ほどということで、このプログラムは「完全田舎暮らしには手が出せないけど、時々農業や自然と触れ合いたい」という都会暮らしの方々に喜ばれているそうなのです。
棚田のそばには、炭小屋もありました。今も分担しながら運営しているという炭小屋。食物を育て、火を育む炭も自分たちで。最近は災害も多く、何かと不安な現代。電気水道ガスとインフラに頼りっきりの私からすると(キャンプすらできない)、自然や人の知恵を生かして“自分たちで生きる”ことができる人ってとても強いなと感じました。
築200年を超える茅葺屋根の「古民家 ゆうきづか」。その横に、牛小屋を改修した「NPOうず」の事務所が建っています。「NPOうず」の前にはたくさんの地下足袋!そこで最後のキーワード「東京工業大学」の登場です。
「東京工業大学」の教授で建築家でもある塚本由晴さんもこの釜沼に関わっている一人で、東工大の研究生と一緒に里山再生に取り組まれています。その活動は、棚田での米づくり・耕作放棄地の再開墾・茅場の再生・古民家改修・古材のサルベージ(救出)・森のようちえんのための山の整備…と多岐に渡ります。
真っ只中のプロジェクトも見せていただきました。これは「滴滴庵」と名付けられたタイニーハウス。東工大の塚本研究室の学生さんと大工さんが中心になって建てているそうで、毎週末学生さんたちが訪れ建築作業を行っているんだとか。ということで、あのたくさんの地下足袋があるわけです。
※タイニーハウス…ちっちゃな・ちっぽけな、という意味のあるタイニー。シンプルで小屋のようなサイズ感の家をいいます。
週末は福岡さん宅にはたくさんの学生さんが訪れ、みんなで食事を共にしてあちこちでごろ寝することも多いそう。この釜沼に不思議な活気があるのは、そういった人の気配なのかもしれません。
2回くらいの連載にしようかと思っていたのですが、気づけば次回で4回目!長くなりましたが最終回です。
次回予告