テレビ放送を見てくださった方からご意見をいただきました。それは、「トイレや風呂、水回りを整備してから貸した方が良いのでは?」というもの。テレビや新聞では伝わらない部分がありますので、ここに少しだけまとめます。
まず、波佐見町の下水管事情。
波佐見町には22の郷があり、下水管がほぼ全域に通っているのは3つの郷(宿・湯無田・折敷瀬)、一部のみ通っているのが4つの郷(井石・金屋・村木・稗古場)、ほか15の郷には下水管が通っていません。
そして、トイレの処理方法。大まかに分けて3つあります。
①水洗
②浄化槽を設置した水洗
③くみ取り(簡易水洗も含む)
まず、下水管が近くまで来ている場合は水洗にすることが可能、下水管が近くまで来ていない場合は②か③になります。
それでは次にお金の話です。
①下水管が近くに来ていて、水洗にする場合…だいたい50~60万円
②下水管が近くに来ていないため、浄化槽を設置して水洗にする場合…だいたい100万円
結構かかりますね~…。(ただし、②の浄化槽設置は補助を受けることも可能です)
と、ここまで長々と説明をしてきましたが、ご意見いただきました『水回りは整備して賃貸する』ですが、上記のような費用を考えると「各工房のトイレを水洗にしてから賃貸に出します」ということは今はできません。さらに言えば、元工房にはトイレ自体が付いておらず、まずはトイレを設置(もしくはレンタルを利用)することから必要な場合がほとんどです。※トイレの有無は各物件のスペックを確認してください。
そして、次の利用者の利用目的によってどこまでの設備・改修が必要か?ということも考える必要があります。陶芸家がアトリエとして使うのか?ショップなのか?カフェなのか?コモンスペースなのか?利用頻度や人数によって、浄化槽の大きさも変わってきます。もちろん、こちらで工房の改修をしてしまえば、もちろんその分、賃料は跳ね上がります。
私たちが紹介しているのは元作業場だった“空き工房”です。一般的な不動産屋で取り扱っているようなテナント募集とは違います。水回りはもちろん、電気メーターなどの工事をしなければならない場合もあります。はっきり言ってしまえば、活用するにはハードルの高い物件も多くあり、要望に応えられる物件を提供できない場合もあります。初期費用も覚悟も体力も必要です。『賃料が安いから』その理由だけではうまくいきません。
じゃあ、なぜこれらの空き工房を物件化する取り組みをしているのか?それは、建物自体に可能性があると感じているからです。決して新しくは建てることのできない雰囲気や、ものづくりに適した機能をもっているからです。工夫次第で、必ず魅力ある場所になると感じているからです。「じゃあ、どういう使い方がいいの?」という問いについては、リノベーションモデルとなる工房で実践しながら答えを探していきたいと思っています。
12月から情報公開をスタートし、思いがけず多くのメディアで取り上げていただきました。そこで反省しなければならないのが、『波佐見空き工房バンク』の仕組みがまだまだ不十分であったことです。私自身、未知の分野であるため、やり始めてから気づく課題や壁がありました。
『波佐見空き工房バンク』は、波佐見町でものづくりや起業をしたい人を応援します。そのためにも、私たちのこれからの活動も見守っていただけると幸いです。
村上