今回インタビューしたのは、大阪から移住し波佐見焼の窯元で働く野田さん。芸大で洋画を学び、今は磁器の絵付けの仕事に携わっています。
「画家になるためにアルバイトをしていたけど、好きな仕事じゃないから続かなかった」と話す姿にとても共感し、もう少し詳しく知りたいなという気持ちになったのを覚えています。
野田さんの話はとてもユニークで、正直です(記事にはできないエピソードも多かったけど 笑)。車を持たない移住者の野田さんを気にかけ、職場の人たちが休日に食事に連れて行ったり、畑仕事に誘ったりと親しみをもっているのも納得です。
仕事場での取材と別に、ご自宅に伺って絵を描く様子も見せていただきました。
「久しぶりに床を水拭きしました」と野田さん。窓側には建物がなく、畑と遠くには山々を望みます。

部屋の一角に絵を描くスペースを設けていました。


描くモチーフは、植物やいきもの、身近な自然のもの。波佐見に来てからは、波佐見焼がモチーフとして登場することも多くなったそう。

絵を描くときは、ラジカセで音楽やポッドキャストを聴くことが多いそう。ロックが好きだという野田さん。波佐見から車で2時間くらいかかる会場に好きなアーティストが来るということで、公共交通機関を乗り継いで見に行ったこともあるそう。
後で“どれくらいかかったんだろう…”と気になって、Googleマップで調べてみたら{4時間51分}と出て、また野田さんが好きになりました(私の“野田さんのおもしろエピソード”として心にメモしました)。
あとひとつ、私が野田さんのことで印象に残ったのが、文章のセンスです。野田さんの記事を書くときにネットでリサーチをしていて、ある個展に添えられていた文章に出会いました。
2017年2月 ひとりでインドに行った。バラナシからラージャスターン州へ向かう長距離電車に乗っていた。外国人専用の座席を取ってもらったのでそこへ行くと、既に二組のカップルと何ヶ月も旅を続けてそうなバックパッカーの方が盛り上がっており、ほとんど英語の話せない私は居心地悪い思いで席についた。 バックパッカーの人にどこから来たのと聞いてみると、イスラエルと答えてくれてドキッとした。今でも紛争をしている国の人と話すのが初めてで、何か言いたいが何も言えずnice to meet you と言った。
私はインドの事をそのままインドと発音して伝わらず困っていたら、中国から来た男性ががインディアだよ、と教えてくれた。この旅で出会った中国の人はなぜか日本の事情もインドの事情も分かっていて、私はいつも助けてもらった。
皆次々に降りてゆき、最後のほうはドイツから来た2人と電車に揺られた。大学生の女の子はヴィーガンでヨガをやってて、大学ではソーシャルワークというものを学んでいるらしい。社会人の男性のパートナーが居眠りすると、蚊の鳴き真似をして邪魔をした。「モスキート」と言って笑った。現地のおじさんが 私たちの席へ来て長い間お喋りをした。別れ際におじさんは みんなまたインドへ来てねと言い、私には、 君は次は友達か恋人と来るべきだよ と言ってくれて、あぁ、そうですねぇ!と返事をしていたら、それを聞いてた2人はおじさんに、ノー、彼女の旅はこれで良いんだと言ってくれた。
どんな絵を描いているか、そんな説明は一切ないけれど、野田さんがどのような思いで絵に向き合っているかがよく分かる文章でした。
野田さんはSNSは一切やっていないし、LINEすらやめてしまったそう(LINEをやめるきかっけになったエピソードを聞いた時、なぜか私の方が怒っていた 笑)。「社内連絡のとき、LINEだと一斉送信で済むのに、社長は嫌がらずに私にはショートメールで連絡してくれるんです」と野田さん。
一手間かかるのにLINEをすることを強要せずショートメールを送ってくれる和山の和樹さん(社長)も、それでも遠慮せずアプリを入れない野田さんも、めちゃくちゃいいな!と私は思いました。
野田さんのインタビュー記事はこちらです↓
【移住者インタビュー 和山 絵付け場職人 野田佳奈子】
インタビューでは、真面目に野田さんのことを書きましたが、「なんだか野田さんの面白いところが出てないよね」と思って、このブログでは思いのままに書きました。どちらも本当の野田さんです。ぜひ、両方読んでみてください。